ラリーウィリアムズの手法「ウップス」は効果があるのかを検証
ラリーウィリアムズはアメリカの著名な投資家で、これまでいくつもの投資手法を発案していることで知られ、日本でも氏の著作は何冊か翻訳、出版されています。
この記事ではラリーウィリアムズの取引手法である「ウップス」についてふれ、更にその有効性をチャートギャラリーで検証するための方法についてみていきましょう。
- ラリーウィリアムズの手法である「ウップス」
- Excel VBAで日本株銘柄に対してウップスの検証を行う
- ラリーウィリアムズの取引手法を学べるDVD
- エクセルVBAを活用して株のデータ管理を行うことが重要
ラリーウィリアムズの手法である「ウップス」
ラリー・ウイリアムズにより紹介された手法である「ウップス」は世界中で使用されている人気の手法です。
↑ウップスの他、主に短期的な取引戦略が紹介されているラリー氏の著作
そもそもウップスパターンとはどのようなものでしょうか。
これはギャップを利用している戦略で、寄り付きのギャップを埋めるようにトレードを行う戦略です。ギャップは前日の終値のことを示すものです。前日の終値よりも高く寄り付くことをギャップアップ、前日の終値よりも低く寄り付くことをギャップダウンといいます。
ギャップアップは
- 前日の高値を下抜けたらタイミングで売り
ギャップダウンは
- 前日安値を上抜けたタイミングが買い
と見なすことが可能です。この投資手法は、僅かなギャップに対する情報を分析することができるため、非常に多くのトレーダーが注目しています。
また、為替市場では週明けの寄り付きでギャップが発生しやすいため、ウップスは日足と週足でうまく機能しやすいといえるでしょう。
ウップスパターンは多くの投資家から支持されており、妥当性と正確性を高いレベルで兼ね備えていることで知られています。しかし、あらかじめ適切な利食い・損切戦略を先に決めていないと損失が発生する可能性が高い点には注意が必要です。
チャートギャラリーによるウップスの検証
チャートギャラリーのデータを利用してウップスのデータを検証するための方法を紹介します。
ウップスを利用した買い戦略を考える際には以下の条件を満たす必要があります。
- 数回はローソクで示された下落トレンドを確認する必要がある。
- 最後の下落トレンドで、前日の安値からギャップダウンで始まる状況が買いシグナルの目安となるので、その状況を待つ。
- 投資家の再評価により価格が上昇し、前日の安値や終値を超えることになるので、そのタイミングで買い手続きを行う。
- 損切りのラインは同じ日の安値
対して、ウップスを利用した売り戦略は買い戦略とは反対の考え方です。
- 数回はローソクで示された上昇トレンドを確認する必要がある。
- 最後の上昇トレンドで、前日の高値よりも明らかに高い値段で取引が開始されれば、ウップス売りの絶好のタイミングです。
- 投資家の再評価により価格が下落し、前日の高値や終値を超えるため、そのタイミングで売り手続きを行う。
- 損切りのラインは同じ日の高値
そして、ウップスの買い戦略、売り戦略を検証するのにチャートギャラリーを用いています。
今回は日本製鉄のデータを参考に検証を行いました。
始めに買い戦略については、以下のデータを見てみましょう。
色付けしたウップス買いのタイミングまでに数回、ローソクで示された下落トレンドが確認でき、最後の下落トレンドで前日の安値からギャップダウンで始まる状況となっています。このタイミングを皮切りに前日の安値や終値を超えており、ウップス買いの絶好のタイミングです。
実際にこのタイミングで買っていれば、10月11日~10月12までに価格が大きく向上しているため利益を得ることができたでしょう。
次に売り戦略について検証を行いました。
ウップス売りタイミングまで数回はローソクで示された上昇トレンドとなっており、最後の上昇トレンドでは前日の高値よりも高い値段で取引が開始されています。その後、価格が大きく下落して前日の高値や終値を超えており、ウップス売りに適したタイミングです。
このタイミングで売っていなければ、10月4日~10月7日まで価格が下落しているため、損失が出ていたといえるでしょう。
ウップスの買い戦略・売り戦略についての検証は他の銘柄でも実施した場合も同様の結果となりました。
頻繁に戦略としてウップスを考慮する機会は訪れることは少ないものの、価格が大きく上昇するタイミング、価格が大きく下落するタイミングとウップスパターンが合致することは少なくありません。
ラリーウィリアムズの投資戦略であるウップスが現在まで世界中のトレーダーや投資家に支持されているのは、ウップスパターンが実際に利益を生み出し、損失の軽減に役立っているからだといえます。
Excel VBAで日本株銘柄に対してウップスの検証を行う
前述の例では、チャートギャラリーを用いて目視確認を行っただけでしたが、続いてExcel VBAを用いて多数の銘柄に対してウップスの検証を行ってみます。検証用のツールは以下からダウンロードが可能です。
検証結果をざっと集計すると、以下の通りになりました。上記のファイルをダウンロードしていただくと集計に使用したデータを確認できます。
東証1部と2部の約400銘柄を無作為に選び、それらの銘柄で直近約10年間においてウップスの検証を行った結果です。
取引条件は以下としました。
1.前日安値より、小さく寄り付く
2.前日安値に、当日高値が達した場合、その価格で買い
3.当日、大引けで決済
※ なお、取引手数料は考慮しない
検証したすべての銘柄の総損益の平均を取ると-1.7%となり、全体的にみると利益の上がる戦略には見えませんでした。実際に取引を行って収益を上げるためには、銘柄の選定等に工夫が必要なようです。
ラリーウィリアムズの取引手法を学べるDVD
↑ウップスでは、価格の動きのみを利用した取引戦略ですが、本DVDではファンダメンタルズの情報を組み合わせた戦略が紹介されています。ラリー氏は、必ずしもテクニカルトレーダーではないことがわかります。
↑ウップスと同様の値動きを使った取引手法がそのまま公開されているDVDです。Amazonでは取り扱いがないレア商品。
エクセルVBAを活用して株のデータ管理を行うことが重要
エクセルVBAは、エクセルに標準装備されている機能で、エクセルで作業を行う際に必要な手順を自動的に実行させることが可能なシステムです。
そして、株式投資を行うためには、データの収集と分析が重要になってきます。例えば、今回解説しているラリーウィリアムズのウップスに関しても、ローソク足などから見ての上昇、下降トレンドを把握していない場合は活用できません。
株式で結果を出すためにはデータを把握しなければ、利益を出すどころか損をするリスクが高まるといえるでしょう。しかし、株のデータを管理するといってもノートなどに手書きするのは時間や労力が掛かり過ぎるため、おすすめできません。
そこで活用するのがエクセルVBAです。エクセルVBAを活用するためにはプログラムの入力が必要になるため、知識がなければ使えないと思われがちです。しかし、実際には、インターネット上でエクセルVBAを活用したツールが無料・有料問わず入手できるためプログラムの知識がなくても問題なく使用できるため、心配はいりません。
加えて、機能については無料よりも有料の方が充実しているため、本格的にデータ管理を行うのであれば有料ツールを利用しましょう。また、プログラムの知識がある場合には、インターネット上でVBAコードなどの情報が流れているため、自分でツールを作成することも可能です。
株の短期売買、長期売買を検討する場合、データ分析は重要な要素だといえるでしょう。
どのツールを選べば良いか分からない場合は、さまざまなチャートを作成でき、充実した機能性とデータ量から投資家から支持されるチャートギャラリーの活用を検討してみてください。