プットオプションの取引方法について解説
オプション取引におけるオプションとは、株などの資産について決められた期間や期日までに定められた価格で購入または売却する権利で、この権利を売買するのがオプション取引です。
この記事では、プットオプションについて説明し、コールオプションとの違い、プットオプションの購入方法などを解説します。
オプション取引の基本用語
プットオプションについて解説する前に、以下のオプション取引の用語を説明します。
1.オプション料(プレミアム)
オプションを購入する人がその権利を獲得するために支払う権利料。
2.原資産価格
オプションの対象商品(日経平均株価など)の価格のことをいいます。
3.権利行使期間
オプション権利の行使を行える期間が権利行使期間となり、権利を行使できる最終日を権利行使最終日(満期日)と呼びます。
4.権利行使価格
原資産の購入または売却する権利を行使する際に決められた売買価格が権利行使価格です。この価格は、取引が開始される前に決定されます。
これらの用語について覚えておくと理解しやすくなるため、覚えておきましょう。
プットオプションとは
プットオプションは決められた行使価格で商品を売る権利のことです。
プットオプションでは、売買する時の市場価格が行使価格よりも下がっていた場合、権利行使を行うことで市場価格よりも高く売却が可能です。
プットとコールの違い
プットオプションは決められた「行使価格で商品を売る権利」であるのに対して、コールオプションは決められた「行使価格で商品を購入する権利」です。
プットオプションでは、株価が下落した時に利益を得られるのに対して、コールオプションでは株価が上昇した時に利益を得られます。
また、プットオプションでは株価が上昇すれば損失が出るのに対して、コールオプションでは株価が下落した場合に損失が発生するため、権利を放棄する株価の値動きが反対になります。
利益を得られる機会や損失が出る株価の値動きが反対であることは把握しておきましょう。
プットコールパリティとは
コールオプションとプットオプションの価値には一定の関係があり、この関係のことをプットコールパリティといいます。関係を式にすると下記のようになります。
コールオプションの価値+行使価格の現在価値=プットオプションの価値+原資産の価値
方程式の左辺をみるとコールオプションの買い手は、原資産の市場価格が上昇しない場合には損失が出ます。この時にコールオプションの買い手は、行使価格の現在価値で国債などの安全資産へ投資することによって、損失に対するリスクに対応できます。
これは、コールオプションの権利行使時に原資産価格が下落した場合、コールオプションの損失を安全資産で補えるからです。
方程式の右辺では、コールオプションの時とは逆に原資産の価格が下落しない場合、損失を被ります。プットオプション購入時に原資産を同時に購入することで、リスクの回避が可能です。
これは、プットオプションの権利行使時に原資産の価格が上がり、プットオプションの損失を原資産の価格上昇で補えます。そのため、この式はパリティ(等価)の関係となります。
下記の図表をみると関係性がわかりやすいです。
引用:2004年 東洋経済新報社 山澤 光太郎 『ビジネスマンのための ファイナンス入門: 55のキーワードで基礎からわかる』202Pより引用
こうした関係性を理解しておくとオプション取引を行う際に役立つため把握しておきましょう。
プットオプションの買い方
プットオプションについて解説してきました。ここからは日経225と株のプットオプションの買い方について説明していきます。
日経225と株でのプットオプションの買い方
日経225では決められた満期日までに権利行使価格で、日経平均を買いつける、また売却する権利を売買します。
プットオプションを購入する際には、売る権利を得るためにオプション料(プレミアム)を支払います。最低取引単位はプレミアムの1,000倍となります。購入するタイミングは、日経平均株価が今後下落する予想される時です。
たとえば、プットオプションを株価が1万円の時に、権利行使価格は9,500円、プレミアムが500円を1枚購入したとします。
この場合の損益の分岐点は、9,500円から500円を引いた9,000円です。日経平均株価指数が9,000円を下回ることで利益になります。
9,000円よりも上昇した場合は損失になるものの損失の上限は、プレミアムの500円×1,000倍=50万円に限定されるので、これ以上損失が出ることはありません。
株式の場合も買い方は同様となるものの大きく異なる点があり、それが取引単位です。日経平均225の最小取引単位が1,000であるのに対して、株式の取引単位は100株となっています。
そのため、プットオプションを購入する場合には通常の株式の方が少ない資金から購入が可能です。購入を検討するのであればそうした点も考慮するようにしましょう。